ベネッセ個人情報流出事件
2017年10月31日
株式会社ベネッセコーポレーショから個人情報が流出した件について,10月23日,最高裁判所の判決がありました。
ベネッセ社が管理する個人情報の流出は,ベネッセ社のシステム開発・運用を行っているグループ会社の業務委託先の従業員(SE)が,業務上貸与されたパソコンに個人情報をダウンロードして保存し,これを私物のスマホに移したというもので,SEがコピーを名簿業者に売却したことから発覚しました。このSEは,最終的に不正競争防止法違反により懲役2年6月,罰金300万円の判決を受けました。
他方,個人情報を漏洩された子どもの親が,ベネッセ社に対して損害賠償の支払いを求める訴訟を提起しましたが,第一審,第二審とも原告の請求を棄却しました。これに対し,最高裁は,第二審が個人情報漏洩で生じたプライバシー侵害による精神的損害の有無及び程度について十分審理を尽くさなかったとして,第二審判決を破棄し,高等裁判所に差し戻しました。
今後,ベネッセ社の責任の有無や責任が認められるとしてその賠償額等の判断が示されることになります。
とはいえ,個人情報の漏洩防止のため講じるべき措置は悩ましい問題だと思います。特に,今回のように,悪意を有する者から個人情報の流出を防ぐことは相当の困難を伴うであろうと思われます。
しかし,個人情報が流出した場合の重大なリスクを考えると,容易にコピーできないシステムにするとか常時監視する体制を整備するなど,相応の対応をしなければならないことは間違いありません。
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