東京・銀座の弁護士

弁護士布施明正 MOS合同法律事務所

コラム Column

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リコール制度について

2017年11月11日

無資格の検査員に完成検査を行わせていたことで,日産自動車株式会社は10月に約116万台,同月25日に追加の約3万8千台のリコールを届け出ました。また株式会社SUBARUも10月に約25万台,11月に追加の約15万台のリコールを届け出ました。

このリコール制度ですが,「同一の型式で一定範囲の自動車等又はタイヤ,チャイルドシートについて,道路運送車両の保安基準に適合していない又は適合しなくなるおそれがある状態で,その原因が設計又は製作過程にあると認められるときに,自動車メーカー等が,保安基準に適合させるために必要な改善措置を行うこと」(国交省HP)であり,道路運送車両法第63条の2以下が根拠となります。

完成検査の過程で資格のない検査員が検査に関与していたことは,保安基準に「適合しなくなるおそれがある状態」で,その原因が「製作過程にある」ということでリコールを届け出たということですね。

素人的な考えでは,検査員に資格がなくても完成検査の質そのものには致命的な影響はないようにも思います(輸出用の車両では道路運送車両法に基づく完成検査は行われません。)が,ルールはルールとして遵守されなければならないわけです。

日産社は,今回の<想定される主な原因>として,完成検査に関する法令に対する会社としての理解不足と遵守意識レベルの低さなどとしていますが,合理化により検査員が減らされたことが原因とする報道もありました。

検査員の資格は,社内で定めた規定を満たせば資格要件が満たされるそうですので,有資格者を一定数確保しておけばこのような問題は生じることはなかったかもしれません。

製造業では合理化やコストカットは避けて通れませんが,今回の件で業績予想を400億円も下方修正せざるを得なくなったことを考えると,法令遵守あってのコストカットであることを再確認する必要があると思います。

またまた地面師詐欺

2017年11月10日

先日,地面師詐欺のコラムを載せましたが,アパグループのアパ株式会社が港区赤坂の土地を巡り約12億円をだまし取られた事件に関して合計9名の男女が逮捕されたとのことです。

この事件では,法務局が登記手続のために持ち込まれた本人確認書類(住民基本台帳カード)の偽造に気づいたことで発覚したようですが,土地の売買の経験が豊富なはずのアパ社がどうして詐欺を見抜けなかったのでしょうか。

実は,この事件は,死亡した土地所有者の相続人を名乗る男2名がアパ社とは別の会社に土地を売却し,その後,アパ社がその会社と売買契約を結びました。つまり,アパ社の直接の相手方はこの会社ということになります。

そのため,アパ社は,直接成りすまし男らの本人確認をすることができなかったのではないかと思います。仮にアパ社が直接男らの本人確認ができていれば,本人確認書類の偽造を見抜き,被害を防ぐことができたかもしれません。

このように,不動産の取引では,A→B→Cの流れで転売されることはままあることですが,A→B,B→Cの売買契約を同時にすることもあり(積水ハウス社の場合がこれでした。),このような場合は,事実上Cが直接Aの本人確認をすることができるかもしれません。

しかしそうでない場合には,Cは直接Aの本人確認をすることができませんので,AとBがグルであれば詐欺が成功する可能性は高くなると思います。

Cが直接Aの本人確認ができないのであれば,CはBが保管しているAの本人確認書類等の書類を自ら確認することが必要となる場合があると思われます。

地面師詐欺が多発していることから,企業が転売された高額の不動産を取得しようとする場合,元々の売主であるAについても,その本人確認が求められる可能性があります。

とはいえ,地面師詐欺では,得体の知れないブローカーが出没したり,不必要に売買を急がせるなどの兆候があるようにも思われます。そのような成りすましを疑うような兆候があるときこそ,急ぐ気持ちを抑え,慎重に確認作業をするべきです。だまされてからでは遅いのです。

景表法の運用の積極化

2017年11月8日

東京弁護士会は,10月11日,弁護士法人アディーレ法律事務所に対し業務停止2月,元代表の弁護士に対し業務停止3月の懲戒処分をしました。これは,同法人が,平成28年2月16日付で消費者庁から,不当景品類及び不当表示防止法(景表法)の有利誤認表示により広告禁止の措置命令を受けたことなどを理由とするものです。

ところで,この件も含めて最近景表法の措置命令が話題に上ります(11月7日もイソフラボンを機能性関与成分とする機能性表示食品の販売事業者に対する措置命令が出されました。)。

今年1月には三菱自動車工業株式会車や日産自動車株式会社に対する措置命令が出されましたが,消費者庁のホームページを見る限り,今年だけで20件以上の措置命令が出され,2件で課徴金の支払い命令がされています。

景表法は,商品や役務の内容について,実際より優良であると誤認させるような表示(優良誤認)や取引条件が実際より著しく有利であると誤認される表示(有利誤認)をすることを禁止しています(景表法第5条)。

先の弁護士法人は,そのホームページ上で,キャンペーン期間内に契約する場合に限り,過払金返還請求の着手金が無料又は値引きとなる等の特典があるかのように表示しているのに,実際には,キャンペーン期間経過後も同じ内容の特典に関する表示を長期間継続していたということで措置命令を受けました(有利誤認)。

消費者は,商品や役務の内容や取引条件に関して業者の表示を信頼するほかありません。ですから,商品や役務の内容や取引条件に関して偽りの表示をすることは消費者の「自主的かつ合理的な選択を阻害する」ことになります。

近時は,このような企業の不正に対する消費者の目がますます厳しくなっています。ですから,怪しい表示をすると消費者がすぐに消費者庁等に通報すると考えておくべきでしょう。

したがって商品の表示には景表法の観点から細心の注意を払う必要があります。

景表法を知らなかったでは済まされません。

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