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またまた地面師詐欺

2017年11月10日

先日,地面師詐欺のコラムを載せましたが,アパグループのアパ株式会社が港区赤坂の土地を巡り約12億円をだまし取られた事件に関して合計9名の男女が逮捕されたとのことです。

この事件では,法務局が登記手続のために持ち込まれた本人確認書類(住民基本台帳カード)の偽造に気づいたことで発覚したようですが,土地の売買の経験が豊富なはずのアパ社がどうして詐欺を見抜けなかったのでしょうか。

実は,この事件は,死亡した土地所有者の相続人を名乗る男2名がアパ社とは別の会社に土地を売却し,その後,アパ社がその会社と売買契約を結びました。つまり,アパ社の直接の相手方はこの会社ということになります。

そのため,アパ社は,直接成りすまし男らの本人確認をすることができなかったのではないかと思います。仮にアパ社が直接男らの本人確認ができていれば,本人確認書類の偽造を見抜き,被害を防ぐことができたかもしれません。

このように,不動産の取引では,A→B→Cの流れで転売されることはままあることですが,A→B,B→Cの売買契約を同時にすることもあり(積水ハウス社の場合がこれでした。),このような場合は,事実上Cが直接Aの本人確認をすることができるかもしれません。

しかしそうでない場合には,Cは直接Aの本人確認をすることができませんので,AとBがグルであれば詐欺が成功する可能性は高くなると思います。

Cが直接Aの本人確認ができないのであれば,CはBが保管しているAの本人確認書類等の書類を自ら確認することが必要となる場合があると思われます。

地面師詐欺が多発していることから,企業が転売された高額の不動産を取得しようとする場合,元々の売主であるAについても,その本人確認が求められる可能性があります。

とはいえ,地面師詐欺では,得体の知れないブローカーが出没したり,不必要に売買を急がせるなどの兆候があるようにも思われます。そのような成りすましを疑うような兆候があるときこそ,急ぐ気持ちを抑え,慎重に確認作業をするべきです。だまされてからでは遅いのです。

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